感謝の念は、どうしたら持てるようになるのか

感謝の気持ちは大切だと、よく言われます。

たしかに、感謝の気持ちを持って生きることは、
とても大切なことなのだと思います。

でも実際には、
感謝の気持ちを持ち続けることは、
簡単なことではありません。

・心に余裕がない時。
・不安でいっぱいの時。
・イライラしている時。

そんな時は、
まわりの優しさや、日々のありがたさに、
なかなか気づけないこともあります。

感情が強く出てしまう時の心の状態については、
すぐカッとなる人、感情的になりやすい人が、少し楽になるためにできること
にもつながる部分があります。

だから、
感謝できない自分を責める必要はないのだと思います。


感謝は、無理に持とうとして持てるものではない

「感謝しなさい」と言われても、
人の心は、そう簡単には動きません。

頭では分かっていても、
気持ちがついてこないことがあります。

むしろ、苦しい時ほど、
感謝よりも不満や不安の方が先に出てくることがあります。

それは、人として自然なことなのかもしれません。

だから感謝は、
気合いで無理に作るものではなく、
日々の中で少しずつ気づいていくものなのだと思います。


当たり前だと思うと、感謝は薄れていく

人は、慣れる生き物です。

毎日あるもの。
いつもそばにあるもの。
当たり前のように続いているもの。

そうしたものほど、
つい見えなくなってしまうことがあります。

● 食事ができること。
● 眠る場所があること。
● 水道や電気が使えること。
● 健康で動けること。
● 誰かが声をかけてくれること。

本当は、どれも当たり前ではないのかもしれません。

でも、毎日の中にあると、
そのありがたさに気づきにくくなります。

そして、
人の優しさや支えも、
いつの間にか当たり前のように感じてしまうことがあります。


まずは「ありがとう」を言葉にしてみる

感謝の気持ちを持とうとしても、
なかなか心がついてこない時があります。

そんな時は、
まず小さな「ありがとう」を言葉にしてみることからでも、
よいのではないでしょうか。

日本人は、
頭を下げたり、態度で示したりすることはあっても、
意外と「ありがとう」と口に出していない場合があります。

家族に。
友人に。
職場の人に。
お店の人に。

小さな声でもいい。
少し照れくさくてもいい。

「ありがとう」と言葉にしてみる。

それだけで、
相手の表情が少しやわらぐことがあります。

その場の空気が少し変わることがあります。

そして何より、
自分自身の気持ちも、
少しスッキリすることがあるのだと思います。

「ありがとう」と言われて、
怒る人は、あまりいないと思います。

言われた方もうれしい。
言った方も、少し気持ちが明るくなる。

感謝の気持ちは、
そうした小さな言葉の積み重ねから、
少しずつ育っていくのかもしれません。


感謝は、大きな出来事の中で気づくこともある

私自身、四国遍路を歩いていた時に、
強く感謝を感じたことがありました。

雨の日の一日でした。
四国遍路の中でも大変だと言われる道中の一つで、
山の中で一時、道に迷ってしまいました。

予定は大きく狂い、
お寺に到着した時には、
納経受付の時間を過ぎていました。

そこから予約していた宿までは、
さらに6〜7kmほど。
歩けば2時間ほどかかる道のりでした。

納経に間に合わなかったショックもあり、
やむを得ず宿に電話して、
車で迎えに来てもらえないかお願いしました。

すると、宿の方は快く引き受けてくださり、
すぐに迎えに来てくれました。

その方にとっては、
仕事として当たり前の対応だったのかもしれません。

でも、その時の自分にとっては、
本当にありがたいことでした。

雨の中、疲れ、不安になり、
予定も崩れていた時に受けた親切は、
とても大きく感じました。

ただ、その感謝を、
自分は相手に十分伝えられたのだろうか。

今思い返すと、
そこには少し自信がありません。

感謝していたつもりでも、
それをきちんと言葉にして伝えることは、
意外と難しいものです。


色眼鏡で見すぎないことも大切

感謝の気持ちを持ちにくくなる理由の一つに、
物事や人を、色眼鏡で見てしまうこともあるのかもしれません。

□ 好きか嫌いか。
□ 損か得か。
□ 上か下か。
□ 自分に合うか合わないか。

そうした見方が強くなると、
感謝よりも、不満の方が先に出てしまうことがあります。

もちろん、人間ですから、
好き嫌いや相性はあって当然です。

無理に誰とでも仲良くしなければいけない、
ということではありません。

ただ、
「この人はこういう人なんだな」
「こういう考え方もあるんだな」
と、少し素直に受け止めてみるだけで、
見え方が変わることもあります。

相手を決めつけすぎない。
物事を悪い方向に考えすぎない。

それだけでも、
心の中に少し余白が生まれるのかもしれません。


大切なものほど、当たり前に感じてしまう

人は、
本当に大切なものほど、
当たり前のように感じてしまうことがあるのかもしれません。

そばにいてくれる人。
支えてくれた人。
助けてくれた人。

その存在が近ければ近いほど、
感謝を言葉にする機会を逃してしまうことがあります。

そして、失って初めて気づくこともあります。

本当は、
もっと早く伝えておけばよかった。
もっと素直に「ありがとう」と言えばよかった。

そう思うこともあるのだと思います。

だからこそ、
大きな場面だけでなく、
日常の小さな場面で、
少しずつ感謝を言葉にしていくことが大切なのかもしれません。


まずは、小さな「ありがとう」から

感謝の気持ちは、
無理に作るものではありません。

感謝できない時期があってもいい。
心に余裕がない時があってもいい。

それでも、
今日の中にある小さなありがたさに、
少しだけ目を向けてみる。

  • 食事ができたこと。
  • 眠る場所があること。
  • 誰かと話せたこと。
  • 助けてもらえたこと。
  • 今日を無事に過ごせたこと。

そうした一つひとつに、
少しずつ気づいていく。

そして、
まずは小さな「ありがとう」を言葉にしてみる。

感謝しているから言葉にする。

言葉にすることで、
少しずつ感謝に気づいていくこともあるのだと思います。

感謝だけで人生が大きく変わる、
そんな簡単なものではないのかもしれません。

でも、
小さな「ありがとう」を積み重ねることで、
人との関係や、自分の心が、
少しやわらかくなることはあるのではないでしょうか。

まずは今日、
身近な誰かに、
小さく「ありがとう」と伝えてみる。

そこから始めても、
十分なのだと思います。