人間としての欲は必要だ!欲望こそが生きる力(パワー)となる

歳を重ねて見えてきたもの

論語にある孔子の有名な言葉に「三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。」という一説があります。

20〜30代の頃の私は、これを聞いて、いろいろ経験を積めば自然と世間が分かり、判断力がつき、聖人君子とまではいかなくても“分別ある大人”になれるものだと思っていました。

また昨年秋、歩き遍路で四国を一周するにあたり、「歩き切れば心が穏やかになり、新しい境地に立てるのかもしれない」と、勝手に期待していたところもありました。

ところが実際は、お遍路の道中で強く実感したのは、「歩けば目的地に着く(=行動すれば何らかの結果が出る)」という因果応報、極めてシンプルな事実だけでした。

家に帰って一週間もすれば、1か月半の旅で感じた“ご恩の有り難さ”や“感謝の念”が薄れてしまう自分に、少し残念な気持ちも覚えました。

もちろん、人はまわりの環境に大きく左右されます。ただ、年齢を重ねてある程度の分別がついた後は、むしろ人としての欲が勝ってくる──言い方を変えれば、わがままさが表に出てくる場面が多いと感じるようになりました。

ですが、今の私はこう思います。
それでいい。むしろ、その方が人間らしい。

私自身、まもなく還暦(数え61・満60)の年齢に差しかかっています。

還暦とは“干支が一巡して赤ちゃんに戻る”と言われますが、長生きして元気な人ほど、むしろ新しいことに興味を持ち、精力的に動きまわっているように見えます。

だから、人としての本来の欲求・欲望こそが、生きる力の源泉(パワー)なのではないかと強く感じています。

長寿の秘訣?三大欲(食欲・性欲・睡眠欲)+物欲(金銭欲)があれば長生きできる?

ある日のラジオ番組で、キャスターが自身の親やまわりの高齢者を見て「お年寄りは“食欲・性欲・物欲”のどれか一つに走る」と言っていて、思わず納得してしまいました。

技術が進歩し社会が変化しても、人間が持つ根源的な部分──三大欲求(食欲・性欲・睡眠欲)や衣食住の基本──は、ほとんど変わっていないように思います。

睡眠欲に関しては、極端な例が存在します。

  • ほとんど寝ないことで有名な、明石家さんまさん
  • 睡眠と自己管理を徹底し、歴史に残る活躍をしている大谷翔平選手

正反対のスタイルでも第一線で活躍している例を見ると、どちらが正しいかは一概に言えません。

私は医者ではありませんので結論は出せませんが、人は“欲をなくして”生きることはできない。これは間違いなく言えると感じています。

立派な聖人君子を目指す生き方もありますが、私は目の前の「できること」を精一杯楽しみながら、人間としての本能で生きる。そんなスタイルで毎日を笑顔で過ごしたいと思います。

食欲・性欲・物欲(金銭欲)。
あなたが長生きするとしたら、どの欲があなたの原動力になりますか?