過去とつながる ― 失敗の経験こそが今をつくる

人とのご縁に支えられて生きてきたことを感じる一方で、過去の出来事そのものも、年齢を重ねるほど不思議と一本の線でつながって見えるようになってきました。

良いことも、苦いことも、失敗だと思ったことも、全部ひっくるめて今の自分をつくっている──そんな実感があります。


社会人となった「平成元年」から始まった目の前の現実

学生時代はともかく、私が社会に出たのは平成元年(1989年)。ちょうどバブルが弾ける直前の時期でした。

入社した頃の世の中は、まさに絶頂期。しかし、その数年後には景気が一変し、「失われた30年」と呼ばれる長い停滞期に入っていきました。

つまり、私の社会人生活は、希望に満ちたスタートではなく、右肩下がりの流れとともに歩んできたと言えるかもしれません。思えば、この空気感が、私の“働く価値観”の根っこをつくった気がします。


10年ごとに景色が変わった、私の不器用な歩み

振り返ると、私の人生はおよそ10年周期でテーマが変わってきました。順調とは程遠い、不器用で曲がりくねった道だったと思います。

20代|東京でのサラリーマン生活

  • 採用部(新卒採用、中途採用)
  • ゴルフ場の運営本部(経理担当・業務補佐)
  • 予約センター、集客営業部の営業企画・事務

スキルアップする同期に比べ、自分は単調な毎日の繰り返し。中小企業診断士の資格取得(現在は、失効)しましたが、正直言えば「これだ」と言い切れるものはありませんでした。

30代|名古屋での転職と、地元での活動

  • 経営コンサル会社でセミナー運営・コンサル補助
  • 地元に戻り、団体職員として記帳指導・経営指導

転職先は半年ほどで退職。ご縁あって自宅に近い職場と巡り合うことができましたが、のちに地域での活動につながる“伏線”だったのだと思います。

40代|独立への挑戦と撤退

製造小売りやインターネット・ビジネスに挑戦しましたが、軌道には乗らず撤退。ここでもまた、「思い描いた未来」と「現実」のズレを痛感しました。

50代|飲食、電気工事、施工管理…新たな世界へ

  • うどんチェーン店での1年間のバイト生活
  • 第二種電気工事士の資格を取得(第一種試験は合格)
  • 電気工事会社に再就職し、現場を経験
  • 2級電気工事施工管理技士を取得し、施工管理を経験

体調を崩して退職したとき、「あぁ、自分もそんなに強い人間じゃないんだな」と実感しました。でも、この出来事が今の私につながる“転機”になったのは間違いありません。


幅広い経験は、器用だからではなく「逃げずに向き合ってきた結果」

ここまでを振り返ると、よくもまぁ、これだけバラバラな職種を渡り歩いてきたな、と自分でも思います。今の若者たちならもっと“得意分野”を決めて働くのかもしれません。

でも私は、器用だったからではありません。
目の前の現実に向き合って、その都度選んできただけです。

そうやって積み重ねてきた経験が、文系・理系も関係なく、すべて今に生きています。遠回りばかりの人生でしたが、その“寄り道”がなければ、この年齢で新しい挑戦を選ぶ勇気は持てなかったと思います。

そして今、社会人、最後の選択として、生活サポートと相談業を年明けから本格的に始めます。
これは「やっと辿り着いた道」ではなく、「自分で選び直した道」です。


失敗は、途中で立ち止まったときだけ“失敗”になる

人生には、どうしても上手くいかない時期があります。誰にでもあります。私にも何度もありました。

でも、ひとつだけ強く言えるのは、
“思うようにいかなかった経験”こそ、あとで一番役に立つということです。

  • あのとき苦労して覚えたHTML
  • あのとき感じたしんどさ
  • あのとき悩んで決断した退職

すべて今の自分を支えています。

ただ、その一方で、望んでいない環境にしがみついて、自分をすり減らしてまで続ける必要はないと思っています。私はそれで一度つぶれかけました。

そこまで自分を追い込まなくていい。
状況がつらければ、立ち止まっても、道を変えてもいい。
選択肢は、いつでも自分の手の中にあります。


最後に ― 自分の意志で選び直せる幸せ

すべてを選ぶ、決めるのは、いつだって自分自身です。

まわりのせいで心が折れそうになることもある。
努力しても報われないこともある。
でも、自分の意志で選び直せる人生は、それだけで十分に価値があります。

還暦を目前にして、私はあらためてそのことを感じています。
“遅すぎる挑戦”なんて、ありません。

ここからまた、できるペースで歩いていきます。
もし今、人生の途中で迷っている人がいたら──

どうか無理にしがみつかないでください。
そして、自分の選択を信じてください。

私もたくさんつまずいてきた一人の人間として、心からそう思います。